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交際中の女子中学生にわいせつ行為をさせたうえ、フラれた腹いせにストーカー行為を繰り返した男性会社員と、報復のために会社員の“私物”を奪った女子中学生と交際相手の男子高校生の計３人が、書類送検された。実は、これらの犯行はすべてゲーム上で行われたものだった。オヤジの理解をはるかに超えた、オンラインゲームの実態とは。

　兵庫県警生活安全企画課によると、熊本県の中学３年の女子生徒（１５）は昨年１１月、ゲーム上で交際していた熊本市の男子高校生（１７）に「ゲーム内でつきまとわれている」と相談。男子高校生は神戸市の男性会社員（２７）のゲームにアクセスし、「懲らしめてやる」と会社員のキャラクターを勝手に消去したうえ、武器などのアイテムを奪い去った。女子生徒と男子高校生は、不正アクセス禁止法違反の疑いで書類送検された。

　会社員も昨年４月、疑似交際していた女子中学生に、ウェブカメラを使ったチャット（ネット上の会話）で、「裸になって胸を触って」などと指示したとして、県青少年愛護条例違反の疑いで書類送検された。

　３人をつないでいたのは韓国発の人気オンラインゲーム「レッドストーン」で、会社員が「武器を奪われた」と県警に相談したことで、自らの条例違反も発覚した。

　ゲーム雑誌編集者（４２）は、舞台となったオンラインゲームについて次のように解説する。

　「ネットを使って全国からアクセスするプレーヤーと同じ世界で生活。特定の敵を倒したら終わりではなく、半永久的に冒険を続けるものです」

　何のためのゲームなのか理解に苦しむが、「特に『レッドストーン』には、明確な目的は存在しません。冒険の中でさまざま経験や出会いを繰り返し、自分でやりたいことを見つけていくのです」と解説する。

　韓国では、何十時間もぶっ通しでのめりこんだ若者が、プレー中に死亡するなど社会問題化しつつあるという。依存症以外にも問題点は多い。

　「自分の分身を動かし、チャットをしながら不特定多数と同時プレーするのが魅力。現実以上に交友関係が広がり、キャラ同士が結婚するケースもあります。アイテム購入などはゲーム内の仮想通貨を用いますが、オンラインゲーム専用銀行で現実の通貨と換金できるため、パスワードを他人に知られると、何百時間もかけて手に入れたレアなアイテムや仮想通貨が、盗まれたり消去されてしまうのです」

　レアなアイテムは、ゲーム内で数万円するなど破格な値段で取引され、詐欺などの温床になることも多い。ゲームそのものが出会い系サイト化したり、個人を誹謗（ひぼう）中傷する掲示板化することもある。

　「ウェブカメラを使ったチャットによるわいせつ行為は、まさに出会い系サイト化の典型で、同じくゲーム内のストーカー行為も、十分想定されていた犯罪なのです」

　「武器を奪われた」と慌てて警察に駆け込んだ会社員に同情の余地はないが、背後には「たかがゲーム」と侮れない深い闇が広がっている。